2010事務所ニュース

   
 
このページでは、最近の弁護士法人阪南合同法律事務所が発行した事務所ニュースの記事を紹介させて頂きます。
 
 
 
2010事務所ニュース
 
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生活保護行政
 ここ最近、雇用をめぐる問題について、マスコミをにぎわかさない日はありません。いわゆる派遣切り、就活、生活保護世帯の増加などで、これほど深刻な事態は、私自身知りません。
 
 そんな状況下、岸和田在住の37才のIさんが、生活保護の申請をした事に対し、岸和田市福祉事務所長がこれを認めず、大阪府も同様の結論を出したため、昨年11月、岸和田市と大阪府を被告として、行政訴訟を起こしました。
 
 岸和田市福祉事務所が、保護の申請を認めなかった理由は、「稼働能力の活用が図られるため、最低生活の維持可能」、大阪府は、「3日に1度ほどの求職活動」では、「真摯に求職活動を行っているとまでは、みることはできない」というものです。
 
 つまり、働く能力があるのに、真剣に仕事を探していないということです。
 
 Iさんは、中学卒で運転免許も無く、所持金も無い状態であるため、保護を求め、保護を受けつつ、求職活動をする思いが、非情にもはねつけられたのです。
 
 生活保護法は、憲法25条の生存権規定を具体化するもので、いわゆるセーフティーネットの役割を果たすものですが、その本旨について、岸和田市福祉事務所長も大阪府も全く顧慮しない違法なもので、許すことができません。
 
生活保護行政のあり方を問う重要な訴訟です。
 
弁護士 西本 徹
 
東大寺のカワセミ
 今年は平城遷都1300年、奈良が賑わいそうです。昨年は阿修羅像が話題を集めました。数年前、年配の品のよさそうな女性が阿修羅像に魅入っていた姿が印象に残っています。確かに、この異形の仏像は人を魅了してやみません。
 
 東大寺大仏殿への参道の雰囲気も、私は好きです。老いも若きも、子供も、アメリカ人もアジア人も、インド人も集まってきます。センベイをやろうとして鹿に追われ、歓声があがります。笑顔、笑顔の連続です。なんとも言えない開放感があります。
 
 この参道沿いの池に、カワセミがいます。空飛ぶ宝石とも言われていますが、そのコバルトブルーに輝く姿を見せた瞬間、その場の空気が変わります。東大寺の参道の賑わい、子供の歓声、池を背景に記念写真をとる高校生、そのごく近くに、人に気づかれることもなく、カワセミが池で休み、飛び回っている。自然の輝きを実感する時間です。
 
 カワセミと言う小鳥も異形です。短い足、胴からすぐに頭があり、体に比べて異常に大きい嘴、そして、押しつぶされたようなその顔は悪ガキ顔ですが、どこか愛嬌があります。飛ぶスピードは速く、水中に飛び込んで小魚をとる瞬間は文字通り一瞬で、狩りの名人です。
 
 カワセミは、身近な小鳥です。この泉州でも、男里川河口、樫井川、雨山川、上之郷の池等いたるところで見ることができます。春木川にも戻っているそうです。
 
 
弁護士 岡本一治
 
 
佐野第一交通事件で全面勝利和解成立
 8年余りに及ぶ大争議でしたが、佐野第一交通事件で、全面勝利の和解が成立し、第一交通産業との争議を全面解決することができました。
 
 当初は、何が起こったのかわからず、いつまで組合がもつのか心配された争議でしたが、天下の第一交通産業を相手に、100件近い裁判闘争を闘い、見事勝利を収めることができました。とりわけ、第一交通産業が佐野第一交通を解散し、組合員全員が解雇された事件で、裁判所に法人格否認の法理に基づき親会社である第一交通産業に雇用責任を認めさせることができたことは、タクシー労働者の闘いでも、労働裁判でも、歴史に残る大勝利だと思います。この間ご支援頂いた皆さん、本当にありがとうございました。
 
 この争議を通じて、当該労働組合の団結の力、産別や支援組織の役割の大きさ、弁護団の役割など、本当にすばらしい経験をさせていただきました。地元の法律事務所と言うことで、事務所の中で、特別の体制をとってもらい、一定の役割を果たすことができたのではないかと思います。また、事務員共々、旗開きなど随分楽しい思いもさせていただきました。
 
 いま、地域では、今回解決した協和メインテナンス事件の他に、飛翔館高校事件、長見ヒューム管事件、山光商店事件など、争議が相次いで起こっています。佐野第一交通事件の勝利の教訓を糧にして、これからも頑張っていきたいと思います。
 
弁護士 山﨑国満
 
 
アスベスト国賠訴訟へご支援を
 泉南アスベスト国賠訴訟は、本年5月に判決を迎えます。訴訟で明らかになったのは、被害も責任も認めない国の姿でした。
 
 原告には、石綿救済法の対象外である、非労働者の石綿肺患者・その遺族がいます。同法制定前から、国は、企業等の検診の結果から、石綿肺に罹患した非労働者の住民がいることを把握していました。しかし、この結果は非公表とされ、同法の救済対象から石綿肺は外されました。
 
 工場近くの農家だった犠牲者は、労働者と違い、いつどこで石綿に曝露したか記録がないし検診も受けていません。過酷な立証責任を負わされた遺族は、登記簿や航空写真・カルテ等あらゆる資料を集めて曝露と被害を解明しました。しかし、国は、被害を否定しようと攻撃してきました。「大気中にどの程度石綿が含まれていたか証明がない。粉じんが飛散していたとしても全てが石綿であったとは限らない。」
 
 一住民に大気中の石綿の濃度を測れと言うのですか。国がすべきだったのではないですか。
 
 被害に目を向けないばかりか、被害者をつぶしにかかる国は、公害企業よりも悪質です。戦前から被害を知りながら、対策を怠った責任が問われなければなりません。
 
 農家の遺族は、結審時の法廷で訴えました。「工場からは大量の石綿粉じんが吹き出していました。それなのに、工場の内と外で差別するのはおかしいと思いませんか。」そして、迷った末に勇気を持って提訴したこと、全ての人が隙間なく、いち早く救済されるよう、裁判官も勇気を持って判決するよう呼びかけました。
 
 一度も泉南に来ようとしなかった裁判官の胸にもこの言葉は突き刺さったことでしょう。判決まで、公正判決を求める署名と原告団への支援をお願い致します。
 
弁護士 半田みどり
 
 
トラック運転手の労災認定を得ました
 平成21年は、平成16年から取り組んできたAさんの労災事件で、念願の労災認定を受けるという結果を得ることができました。
 
 Aさんは、長距離の大型トラック運転手として、1か月に500時間を超える,極めて長時間の勤務をこなしていたところ、平成16年に、配送先で、急性副腎不全を起こし、亡くなりました。
 
 ところが、労基署は、Aさんの死亡は、過重労働とは因果関係がないという決定を出し、審査請求においても、同じ結論を出しました。あきらめず、Aさんの家族と奮闘し続け、ようやく、平成21年7月に、再審査請求において、過重労働がAさんの死亡の原因であるという認定を得ることができました。
 
 この結果を得るまでに、幾多の困難がありましたが、さんざん働かせた挙げ句、Aさんの死が過重労働と関係ないとは言わせない、過労死である実態を認めさせるんだという強い気持ちで、Aさんの家族も、必死にがんばってくれました。そのような気持ちが、結果を導いたのだと思います。
 
 「お父さんはね、働きすぎて死んじゃったんだよ」と残された幼い子に話したAさんの妻。もし、人として、尊重される働き方がされていればと思わずにはいられません。
 
弁護士 小瀧悦子
 
 
取り調べの全面可視化
 昨年は、裁判員裁判が始まり、足利事件の菅家さんの再審が開始され、刑事司法にとって、大きな出来事がありました。
 
 そんな中、我が事務所のメンバーが所属する国民救援会岸和田支部で、菅谷さんより長期間身柄拘束された布川事件の櫻井昌司さんをお招きし、学習会を開きました。櫻井さんは無罪を主張しましたが、強盗殺人罪で無期懲役の刑を受け、29年間獄中にいました。現在、仮釈放され、最高裁で再審開始決定が出るのを待っています。
 
 櫻井さんは、なぜ、自分がやってもいない罪を認め、嘘の自白をしたのか、捜査官がどのように自白に導いたのか説明されました。櫻井さんは、捜査官の取調中の暴言や、深夜まで行われる取調べが辛く、自白をすれば楽になるので自白してしまったと言われました。
 
 現在、取調べの全課程を録画すること(取調べの全面可視化)が議論されています。裁判員の負担を軽減し、自白の信用性を正しく判断するために、是非とも必要な制度であると思います。冤罪をなくすために何ができるのか、国民全体で考える必要があると思います。
 
弁護士 十川由紀子
 
 
個々の事件の背景に見られる世界不況の影響
 最近、個々の事件において、弁護士として活動している中で、不況による雇用情勢の悪化や、中小企業の経営難をひしひしと感じることが多々あります。
 
 債務整理の相談に来られる方の中には、不況によって収入が減少し、借金を返すことができなくなったという方が多くいます。
 
 離婚のような、一見雇用情勢等と直接関係なさそうな事件においても、たとえば、相手方配偶者が不況の影響で収入が低くなり、十分な養育費等が支払えず、調停がまとまらなくなるなど、不況の影響が現れています。
 
 刑事事件においては、起訴猶予や執行猶予になった場合に、勤務先を見つけることが極めて困難な状況になっています。
 
 労働事件においては、和解をするにしても、会社側が
経営難でお金がないため、会社側がまともな和解金額を提示してこない、というような状況が起こっています。
 
 新自由主義やグローバル資本主義の矛盾が現れてきている現状のもとで、鳩山政権がどのような社会政策・経済政策をとっていくかについて注目し、場合によっては政策提言的な運動にも参加しつつ、弁護士として、今年も、個々の事件について、できる限りの奮闘をしていこうと思っております。
 
弁護士 下迫田浩司
 
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