2013年事務所ニュース

   
このページでは、最近の弁護士法人阪南合同法律事務所が発行した事務所ニュースの記事を紹介させて頂きます。
 
 
2013年度 事務所ニュース
2013事務所ニュース
 
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「フツーのおじさん」と弁護人
 昨年10月、岸和田の浪切ホールで、日本国民救援会泉州ブロック主催で、ドキュメンタリー映画「ショージとタカオ」の上映の催しが開かれました。
 「ショージ」とは桜井昌司さん、「タカオ」とは杉山卓男さんで、1967年8月、茨城県、利根町布川で発生した強盗殺人事件の犯人とされ、無期懲役の判決を受け、2回目の再審申立で、2011年5月無罪を勝ち取った方です。
 逮捕された当時、20歳、21歳、無罪を勝ち取ったのは、なんと44年後の64歳、65歳です。気の遠くなる歳月です。
 このように、長年月をかけて、無実を訴え、闘ってこられたのは、本人の執念、日本国民救援会などのバックアップ、そして、弁護人の方々の事件に対する思いでしょう。
 映画の中で、柴田五郎弁護士が、2人の受けた無期懲役の判決は、自分も同じく受けたものとの趣旨の発言は、時々、刑事弁護人をつとめる私にも、胸に沁みるものです。
 本人の無実の訴えに、疑念を抱くこと無く、共感し、受け入れることが出来た弁護人だからこそ、自分も無期懲役の判決を受けたとの思いを持ち、冤罪を晴らすため、弁護を続けられたのだと思います。
 冤罪にかかわる弁護人の思い、特に、当初からの弁護人の思いがどのようなものか、余り語られることはありませんが、折にふれて、語って頂ければというように思います。
 映画は、仮釈放後の2人を中心に、その生活と「フツーのおじさん」になろうとする姿をとらえています。
 機会があれば、是非、観てください。
 
                      弁護士 西本 徹
 
消費税は上げさせない!
 昨年は、驚きの連続でした。
 福島原発事故の被害は、さらに拡大し続けています。地震と原発被害により、県内外への避難を余儀なくされている方は16万人もいます。事故原因の究明も未だです。それにもかかわらず、政府は、活断層が真下を走っていると言われている大飯原発の再稼働を強行しました。米軍のオスプレイ(垂直離着陸機)は強行配備され、沖縄県民の怒りは頂点に達しています。また、アメリカの求めるTPP(環太平洋連携協定)に参加して、農業と国民の生活を危機に陥れようとしています。
 そして、自公民の3党は、消費税の大増税を強行採決しました。3党の合意により、消費税増税法の附則に、「成長戦略並びに事前防災及び減災等に資する分野に資金を重点的に配分する」という規定が追加されました。成長戦略と「防災」を口実にして、消費税の増税分を大型公共事業につぎ込むのは必至です。福祉を充実させるのが目的でないことは明らかです。
 このまま2014年4月から消費税が8%にあがり、さらに10%になれば、日本経済が壊滅的は打撃を受けるのは必死です。さらに不況になれば、税収は下がり、財政赤字はさらに増えます。
 思い出してみてください。1997年に消費税率が3%から5%に実行され国民負担が増えた時、回復しつつあった経済が打撃を受けました。その結果、1998年以降、破産件数が10万件を突破、自殺者もこの年から毎年3万人を超えるようになりました。そして、貧富の格差はいっそうひどくなりました。
 あの橋本構造改革の歴史的な悪政を繰り返さないためにも、消費税率を8%に上げさせない声をさらに大きくしてゆきたいと思います。
 
弁護士 岡本一治
 
飛翔館高校事件の歴史的な勝利に思う
 この事件は、岸和田で唯一の私立高校である飛翔館・近大泉州高校で、生徒数の減少による財政悪化を理由に、団体交渉による協議説明もないまま、年度末ギリギリに、希望退職に応じて11名の先生が退職するところに、更に7名もの先生が整理解雇された事件でした。
 この事件が起こったとき、正直言って、勝てるのかと思いました。団体交渉が行われていないこともあって、証拠のほとんどは学園側にありました。しかし、裁判を提起して、解雇の不当性を明らかにする中で、私は勝利を確信していました。
 しかし、まさかの一審敗訴。そのときの悔しさは今も忘れることができません。一審裁判で勝利することの重要性を嫌と言うほど痛感した事件でした。それを跳ね返し、高裁で逆転勝利し、最高裁で勝利することができたのは、先生方、皆さんの教育にかける思い、団結、組合の力だと思います。とりわけ、大私教はじめ全国私教連には、裁判闘争の面はもちろん、財政的にも大いに助けられました。また、卒業生、保護者の皆様はじめ、大阪や全国の働く仲間、ピースコールの皆様にも、大きなご支援をいただきました。
 この争議で、先生方が見事職場復帰し、道半ばとはいえ、学園を一定民主化して、職場要求を前進させていく展望を切り拓くことができました。とりわけ、裁判所で整理解雇法理に対する攻撃が一段と強まっている中で、私学の整理解雇は消費収支差額ではなく帰属収支差額に基づき検討するのが妥当である、経営合理化のための「人の入れ替え」は原則として認められないとする画期的な高裁判決を引出し、それを最高裁で確定させることができたことは、大きな成果だと思います。
 いま、全国的にJALや電気産業などリストラ合理化の嵐が吹き荒れています。地域においても、生協のオレンジコープ事件など新たな整理解雇の事件が起こっています。この歴史的な争議を闘ったことを教訓に、引き続き頑張っていきたいと思います。
 
弁護士 山﨑国満
 
これからは鈍感ではいられない
 劇団・青年劇場による公演「普天間」が11月24日、泉の森ホールで行われました。「2012年、沖縄施政権返還40年の節目の年に、沖縄の”心”を届ける作品」であるこの劇では、沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落の鬼気迫る場面が冒頭に展開されるのですが、これが衝撃的でした。実は、こんなに恐ろしい事故だったとは知らなかったからです。墜落の報道は目にしたし、普天間基地が「世界一危険な基地」と言われているのも知っていたのですが、その重みは認識できていませんでした。劇中、同大学の教授役が「人は、痛いことや都合の悪いことは、そう感じないように、鈍感になっていく」と言うのですが、私は、鈍感になったのではなく、はじめから鈍感でした。
 劇は、戦争と基地を巡る、老若男女の様々な体験や思いを語っていきます。舞台には鉄条網、そして何度も邪魔する爆音。絶対に入ることの出来ない鉄条網の中には、沖縄戦の犠牲者の遺骨が埋まったまま。原発事故のため、捜索できない所に犠牲者が残されている事にも重ね合わせた「どこか似ている。原発と基地って」と言う台詞がありました。確かに、同じではなくても、似ています。少女が暴行されても、ヘリが落ちても、10万人を超す人が集会をしても、基地はなくなりません。このまま原発もなくならずに、みんな鈍感になっていくのでしょうか。
 初めて流暢なうちなーぐちで聞いた「チュニクルサッテン ニンダリーシガ、チュクルチェ、ニンダラン」と言う言葉が頭に残りました。「他人に痛めつけられても、眠ることは出来るが、他人を痛めつけては、眠ることが出来ない」と言う意味の、沖縄の人の心を象徴する言葉ですが、その沖縄に痛みを押しつけながら、私たちは眠っているからです。一方で、劇の方は、見る者に何かを押しつけることはなく、激戦中のガマで生まれた命の物語で幕を閉じていきます。怒りや苛立ちではなく、温かく包み込まれるような余韻の中で、もっとこの劇を多くの人に見てもらいたい、そして、これからは鈍感ではいられない、と自分に言い聞かせました。

 
弁護士 半田みどり
 
はじめまして、國本です
 昨年10月1日から当事務所で執務しております、國本依伸です。8年半ほど大阪市内で弁護士をしておりましたが、米国留学を経て、縁あってこの泉州の地で執務させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
 日弁連の推薦を受け「医療を受ける子どもの人権」を研究するため、2011年6月から2012年9月までカリフォルニア大学バークレー校に客員研究員として留学していました。約4年前、娘が1歳のときに大怪我をして1ヶ月半ほど入院した際、子どもが大きな怪我や病気をすると親は本当に大変だということを実感しました。それがきっかけとなり日本の小児医療のことを調べ始めたところ、いまだに保護者の面会時間を制限している病院があること、多くの病院できょうだいとの面会が禁じられていること、医療スタッフから患者である子ども自身に対する説明が十分になされていないことなどを知りました。同時に、西欧諸国では子ども達のストレスを最小限にしようとする医療実践が普及しており、アメリカでは子ども達の声を理解し、代弁し、遊びを通じてあらゆる子どもの発達を保障するチャイルドライフ・スペシャリスト(CLS)と呼ばれる専門家が活躍していることも知りました。
 留学中、14カ所の医療機関を訪問し、関係者の方々からお話を伺いました。アメリカ医療は全体としては非常に深刻な問題を抱えていますが、小児医療の現場では、たくさんの当事者・医療従事者の方々が本当にすばらしい実践をしていました。また重い障害や病気を抱える子ども達自身が自ら病院の運営に参加し、変革している様子も目の当たりにしました。
 日本でもアメリカのCLSのような職種、子ども療養支援士を普及させようという取り組みが始まっています。この国の医療現場で「子どもの権利条約」が国際基準にかなう形で具体化されるよう、微力ながら貢献していきたいと考えています。

 
弁護士 國本依伸
 
保育所民営化
 私は、2歳の息子を高石市の公立保育所に預けています。高石市は、平成24年5月末、息子の通う保育所の民営化を発表しました。高石市長は、保護者に対する説明会で、保育所の建物を耐震化する必要があり、耐震化するためには、民営化して建物を建て替えなければなければならないと説明しました。しかし、保護者の調査で、耐震化の必要な建物は半分で、建て替えなくても公立のまま耐震補強できることが明らかになりました。
 また、民営化すると一般的に財政削減効果があると言われますが、高石市は、どの程度削減効果があるのか試算していないと言い、きちんと説明をしません。
 同年8月、保護者に十分な説明がないまま、新しい保育園事業者を選ぶ、選考委員会(大学教授、保護者等8名で構成)が開催されました。私も保護者の立場で選考委員となりました。
 しかし、同年9月、選考委員会は、地方自治法によると議会の条例で設置しなければならないにもかかわらず、要綱で設置されており違法であることが判明しました。大阪府は選考委員会のような違法な201の委員会、審議会を全て休止させましたが、高石市は、選考委員会を強行に開催しようとするので、保護者を中心とする住民(合計285人)が住民監査請求をし、主要新聞4紙が取り上げました。
 その結果、同年10月、選考委員会の判断で、選考委員会は休止となり、高石市の暴走を食い止めることができました。
 その後、高石市は、他の委員会、審議会は放置したまま、保育所の選考委員会のみを条例化し、民営化を強引に進めようとしています。選考委員も、保護者2名以外は、市長の息のかかった者が選ばれており、無茶苦茶な議事進行がなされています。
 高石市の人口が減っているのも、高石市が子どもに冷たい政策をとっているからだと思います。高石市長には、保護者、住民の意見を取り入れ、長期的な視野で子どものための政治をして欲しいと思います。
 
弁護士 十川由紀子
 
母子家庭の貧困の原因
 私は、大阪弁護士会の貧困・生活再建問題対策本部の委員を務めるとともに、女性と子どもの貧困部会の委員を務めています。
 日本の母子家庭は、極めて厳しい生活状況に置かれています。厚生労働省の2011年度全国母子世帯等調査によれば、母子世帯の平均就労収入は年181万円しかありません。
 離別母子世帯の場合、十分な額の養育費をきちんと支払ってもらえれば生活の厳しさが緩和されるという問題意識のもとに、上記部会は、2012年11月17日、大阪弁護士会館でシンポジウム「養育費のあり方を考える」を開催し、私は、現在の日本における養育費を巡る問題点について報告しました。養育費の取決めをしなくても簡単に離婚ができてしまう制度の問題や、養育費支払確保の制度が十分でないという問題もありますが、今回は、裁判所で用いられている養育費算定方式によれば養育費の金額が低くなりすぎるという問題を中心に報告しました。「総収入」から、養育費算定のための「基礎収入」を算出するときに、「公租公課」「職業費」「特別経費」という名目で一律に58%~66%もの割合を控除する(差し引く)ことが、一番の問題点だと考えます。
 ただ、私は、母子家庭の貧困問題の根本的な原因は、①賃金と②社会保障の問題にあると思います。
 ①賃金について。日本では先進諸国の中でも飛び抜けて大きな男女間賃金格差がありますが、母子世帯の母親は女性全体の平均賃金よりもさらに低い収入しか得ていません。同じ仕事に対して同じ賃金が支払われる社会(同一価値労働同一賃金)を実現したいところです。
 ②社会保障について。日本では、あまりにも社会保障が乏しいため、子育てにお金が大変かかります。少なくとも、すべての子どもが等しく教育を受ける機会を得られるように、教育にかかる費用をすべて無償にすべきと考えます。
 
弁護士 下迫田浩司
 
人質司法の実態
 みなさん、こんにちは。弁護士の南部秀一郎です。昨年の事務所ニュースでは入所のあいさつを書かせていただきました。既に、そこから1年。あっという間で驚きます。
 さて、この1年間、私が一番時間をかけて取り組んだと言えるのは、刑事事件です。刑事に向かないと独りごちながら、書面を書き、様々な方々と交渉をするなどあれやこれややらせていただきました。そんなあれやこれやの中で、刑事弁護士が一番時間をかけること、それは、被疑者・被告人との接見です。
 去年世間の話題になった事件に、他人のパソコンを遠隔操作し、犯行予告を行ったという事件があります。この事件では、なりすましの被害者の一人の少年が、やってもいない犯行予告を自白したと報道されました。やっていないのに自白するというのはにわかに信じられないことかもしれません。しかし、実際に警察に逮捕され、留置場に長い期間勾留されるということは、本当につらい状況なのです。狭いところに知らない人が一緒に入れられ、プライバシーの全くない状態。会社・学校にも行けず、面会は(弁護士以外は)1日1回。実際、私が1年間でお会いした方々も、子供に会えなくて毎日涙を流すお母さん、再犯で家族すらも面会に来てくれなくなってしまった男性、せっかく決まった仕事ばかりが気になる人と、それぞれがつらい思いを打ち明けてくれました。世間から見捨てられた感覚でしょう。こんなつらい状況では、つい話をできる人に応じてしまうのです。その人が警察官だったらウソの自白につながります。
 警察が必要以上に被疑者を逮捕し、自分たちに有利な状況で捜査を行うことは、「人質司法」と呼ばれ、冤罪の温床となっています。しかして、その実態は、被疑者を孤独な状況に追い込んで精神的苦痛を与えることなのです。弁護士になった最初の1年に十分この苦痛について、私は被疑者の話を聞く機会を持ち、実感としてそのつらさを知りました。警察・検察・裁判官、刑事司法に携わる人たちみんなが、そのつらさを実感して欲しいものです。
 
弁護士 南部秀一郎
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