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相続
Q&A




最近、問題をかかえている家族がいる場合、「 遺言書(公正証書遺言) 」を残すケースが増えてきました。


遺言書をつくっておけば、トラブルにならなかった事例がたくさんあります。公正証書を作成し、相続人が無用なトラブルに巻き込まれないよう、早めに行動しましょう。突然、無くなった時に故人を偲ぶことができないまま争いが始まるケースが少なくありません。残された家族間こじれないようにするためにも、「 遺言書(公正証書遺言) 」を残しておきましょう。






1.Q 遺言を書くことのメリットは何ですか?
                 

A. 
ある方が死亡されると相続が開始され、法律で決められた相続人に、法律で決められた割合で相続されます。
しかし、それでは、亡くなった方が希望する人(団体)に、財産をあげることも出来ません。また、遺産分割協議や銀行・法務局などの相続の手続も結構面倒です。さらに、予想に反して、相続人間で揉めてしまうこともあります。
この様な場合に、亡くなった方の最後の意思を尊重して、生前に、ご自身の財産を処分することを認めるのが、遺言という制度です。






2.Q 遺言の作成を頼んだ場合、弁護士にどのようなことをしてもらえますか。
                 

A. 
私たちは、法律の専門家として、ご本人の希望をよくお伺いし、その内容を正しく明確にした遺言書の案文を作成します。
内容が確定すれば、公正証書遺言を作成することをお勧めしています。
遺言公正証書を作成するために必要な証人は、弁護士や法律事務職員がなることもあります。
また、亡くなった後に、遺言をそのとおり実現する遺言執行者に、弁護士や弁護士法人を指定していただくこともあります。







3.Q 遺言を書いておこうと思いますが、決まった形式はあるのでしょうか?
                 

A. 
遺言は、①自筆証書遺言、②秘密証書遺言、③公正証書遺言の3つの方式のいずれかによる必要があります。

①の自筆証書遺言は、遺言者が全文を自分で手書きして、日付、氏名を自署して押印するだけです。ただし、遺産の一覧である「財産目録」についてはパソコン作成文書や資料で代用することができます。
一番手軽な方法ですが、誰にも知らせずに放っておくと、遺言書を誰も見つけてくれないおそれがありますが、法務局で保管してくれる制度を利用することも可能です。
自筆証書遺言は、法律専門家の関与がない場合、文章に不明確な点があるなどの理由で、遺言書が無効になったり、死亡後に訴訟になってしまうことがあります。

②の秘密証書遺言は、遺言者が遺言書を作成し、封印した後に、証人2名とともに公証人の面前で自分の遺言書である旨等を申述して公証を得るものです。秘密が確保される一方で、内容について公証人が関与しないため、内容について争いになる可能性もありますし、紛失の可能性があることも①の自筆証書遺言と同様です。

そこで、一般的には③の公正証書遺言がお勧めです。公正証書遺言は、遺言の内容を公証人が公正証書によって作成するものですから、有効性が確保され、その謄本が公証役場に保管されるので、紛失することもありません。内容の確実性という観点からすれば、やはり②の公正証書遺言が安心といえるでしょう。








4.Q 葬儀費用とはどのようなものがありますか?
                 

A. 
葬儀費用には、①遺体の運搬、火葬、埋葬費用、②お通夜・告別式の費用、③お寺へのお布施、④香典返しの費用、⑤初七日・49日法要などの費用、⑥仏壇・墓地・墓石などの購入費用など様々なものがります。
相続人のお一人がその支払を済ませた場合、後の遺産分割などにおいて、他の相続人に対して負担を求めると、拒否されて争いになることがしばしばあります。





5.Q 葬儀費用は誰が負担するのですか?
                 

A. 
実をいうと、葬儀費用について法律上の定義はありませんし、それを誰が負担するのかについても法律に定めがありません。
もし、それが「相続債務」だとすれば、債務は原則として法定相続分に応じて分割して相続人に承継されますので、他の相続人に対して相続分に応じて求償することもできます。
しかし、葬儀費用は、相続が開始した後の費用ですから、理論的には、相続債務とはいえません。
相続税法上、葬儀費用を相続財産から差し引くことが認められていますが(相続税法13条)、これは相続税法上の制度で、民法上の負担とは別の問題です。

法的には喪主の負担とするのが一般的。
そこで、葬儀費用が誰の負担となるのかが問題となりますが、いくつかの考え方がありますが、法的には喪主が負担するというのが一般的です。名古屋高裁平成24年3月29日判決は、葬儀費用を「死者の追悼儀式に要する費用」と「埋葬等の行為に要する費用」とに分けて、前者は喪主が、後者は祭祀承継者が負担すべきとしました。そこで、この考え方によれば、喪主の方が葬儀費用を支払われても、他の相続人に対してその支払を求めることはできないということになります。

もっとも、他の相続人の方との合意が可能であれば、その合意内容に従って、葬儀費用の負担者や負担額を自由に取り決めることができます。実際にも、遺産分割協議や遺産分割調停の中で、一括して解決することもよく行われています。しかし、遺産分割の審判となると、他の相続人の同意があっても、裁判所が審判で決定することになりますので、同様に考えることはできません。そこで、例えば、喪主の方が相続財産の貯金を引き出して葬儀費用の支払いに充てたような場合には、相続人間の合意で相続財産からその部分を除外して、同様の結果を実現したりしています。








6.Q 葬儀費用にまつわるトラブルを回避するにはどうすればいいですか?
                 

A.
葬儀費用がよく争いになるのは、主に二つの場合です。1つは、思いの外、葬儀費用の金額が高額になってしまったという場合です。そのような争いを避けるには、どのような葬儀にするか、事前に他の相続人の方と出来る限り打合せをし、確認しながら葬儀を行うことだと思います。
そして、もう1つは、本当に支出されたのか疑わしい場合です。それを避けるためには、費用の明細書や領収書などをきちんと保管しておくことです。
相続を巡っては、お互いに信頼関係が崩れてしまっているため、葬儀費用について争いになることもしばしばです。困ったときは、早めにご相談下さい。





7.Q 亡くなった方の親族ではあるが相続人でない人のための「特別寄与」とはどういう制度ですか?
                 

A. 
特別寄与料とは、相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合(例えば妻が、夫の父親の療養看護等を無償で行っていたが、義父が亡くなった場合等)に、相続人(義父)に対する寄与度に応じた金銭(=特別寄与料)を請求できる制度です。
この制度は2019年7月1日から導入された、新しい制度です。
特別寄与料は、相続人との協議により定められることになりますが、協議が出来ないときには、家庭裁判所に審判の申立をすることが出来ます。家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を決定してくれます。ただし審判申立は、相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月以内又は相続開始の時から1年内に行わなければなりません。
具体的にいくら位の請求ができるのか、特別寄与料を認めてもらうためにはどの様な資料を残しておいたらいいのかなど、詳細は、事務所にご相談下さい。







8.Q 相続放棄と会社の退職金や遺族年金について教えてください。
                 

A. 
会社の退職金や遺族年金、労災の遺族補償給付などは、会社の就業規則や法律で受給権者の範囲や順位が決められており、遺産の中に入りませんから、相続放棄をしても、これを受け取ることが出来ます。
 
具体的に、どのような場合に受け取ることができるのか、詳細は事務所までご相談下さい。










9.Q 限定承認とは?
                 

A.
借金があるのは確実だけれど、それを上回る財産がある場合には、相続放棄をすると損になってしまいます。
この場合には、「限定承認」という手続きを取ることで、相続財産から必要な支払をして、あまりがあったら相続することができるようになります。
ただ、限定承認をするためには、相続人全員でしなければならないこと、その期間は前述した熟慮期間内にしなければならない点で注意が必要です。







10.Q 法定単純承認とは?
                 

A.
一定の事由によって当然に単純承認が成立してしまうことです。
法定単純承認が成立すると、それに反する相続放棄ができなくなってしまいますし、有効に相続放棄をしても、その後取り消されてしまうこともあります。
どのような場合に法定単純承認になるのか次の3つの場合があります。

一つ目は、
「相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合」
 (処分についての解説は、次の「Q&A相続財産の処分とは」をご覧ください)
二つ目は、
「相続人が自己のために相続があったことを知った時から3ヶ月以内に限定承認又は相続放棄の手続きをしなかった場合」
三つ目は、相続人が限定承認又は相続放棄をした後であっても、
「相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、ひそかにこれを費消し、又は悪意でこれを相続財産目録中に記載しなかった場合」

具体的に、どのような場合に法定単純承認にあたるのか、詳細は事務所までご相談下さい。









11.Q 相続財産の処分とは?
                 


一定の事由によって個々の事情を考慮して 、具体的にどのような場合に相続財産の処分となるのか、どのような場合に「相続財産の処分」にあたるか判断されます。
まず、保存行為にあたる場合は、法定単純承認とはなりません。
保存行為にあたる場合とは、期限の到来した債務を弁済する場合、倒壊のおそれのある建物を修繕する場合、腐敗しやすい物を処分する場合などです。
次に、動産や不動産その他の財産権の売却や抵当権の設定などや、物理的に損壊したり、廃棄したりした場合には、処分行為となります。
ただし、被相続人の死亡を知らずにした財産処分行為は、相続財産の処分にはなりません。
また、賃貸物件の賃料の振込口座を自分の名義に変更する行為や資産価値のある物の形見分けも処分行為となります。
しかし、資産価値のない物の形見分けは、処分行為にならないとした判例があります。
また、預貯金を払い戻し、自分のものとして使った場合は処分行為となります。
しかし、生前の治療費の支払いや、被相続人の葬儀費用の支払い、墓石や仏壇の購入などをした場合は、相続財産を処分したことになりません。
但し、社会的に見て不相当に高額なものは、処分行為に該当するとされる可能性がありますので、注意が必要です。

このように、相続財産の処分に該当するかどうかは、微妙な場合も多く、判断に迷うこともありますので、事前にご相談下さい。






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