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相続
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遺産分割
1 遺産分割は相人全員で(相続人調査)



ある方(「被相続人」といいます)が亡くなると相続が開始します。被相続人が残した財産(遺産)を分けることを遺産分割といいますが、遺産分割をする場合、まず確認しなければならないことは、相続人が誰かということです。遺産分割をするときは、相続人全員でしなければならず、相続人の一人でも欠けていたり、同意を得られないと、遺産分割は無効で、相続登記も、預金の解約等もできません。

誰が相続人になるかについては、民法で定められており、戸籍謄本や住民票で、相続人の調査をする必要があります。事務所でも担当させていただいていますので、声をおかけください(相続人調査)。


ここで、よく問題になるのが、相続人の中に、行方不明の方がおられたり、障害者や認知症の方がおられたりする場合です。そのままでは遺産分割協議が出来ませんので、別に手立てを講じる必要があります。(*不在者財産管理人・成年後見人選任の申立て)


他方、相続放棄をしたり、相続分を譲渡したりして、遺産分割の当事者から脱退することもできます。(*相続放棄と相続分の譲渡)

相続人の中に障害者の方がいる場合は、予め遺言書を作っておけば、このような事態を回避できます。











遺産分割
2 遺産の範囲を確定する必要がある



遺産分割の対象となる相続財産の範囲を確定する必要があります。 せっかく遺産分割をするのですから、全ての遺産を分割したほうがいいですし、 一部漏れていた場合には、改めて遺産分割協議をする必要が生じます。 

〔 遺産調査 〕

そこで、遺産の調査をする必要があるのですが、実はこれが中々厄介で、遺産分割の対象となる遺産の中に入るものと、 入らないものとがあります。また、土地、建物、株式などの遺産の評価も問題となります。

この遺産の調査と評価は、遺産分割の帰趨を決定することが多く、一定の経験と手腕が必要ですので、事務所にご相談ください。(*遺産の調査と評価) 

また、相続人の誰かが財産を独り占めしていて遺産を明らかにしない場合もありますし、相続人の誰かが被相続人の財産を使い込んでいる場合もあります。
名義は被相続人でも、実際は相続人の誰かの所有であったりするなど、遺産の範囲に争いがある場合もあります。(*遺産の範囲の争い、遺産確定訴訟)


遺産分割
3 遺言があれば基本的にそれに従う




❏ 遺言書があるかどうか、どうしたらわかるか。
              

亡くなった人が公正証書遺言を作っていた場合は、公証役場へ行けば教えて貰えます。また、亡くなった人が自筆の遺言書を作成し、法務局に預けていた場合は、法務局へ行けば、教えて貰えます。どちらの場合も、教えて貰えるのは、相続人のみです。
自宅のタンスなどに、自筆の遺言書が入れてある場合は、探すしかありません。



❏ 自筆の遺言書が出て来たが、どうしたらよいか。
                 

裁判所で検認という手続きをする必要があります。この手続きを終えた後、不動産の登記をしたり、銀行で換金をすることができます。
この手続きは、遺言書の存在を確認するだけで、亡くなった人が本当に書いたのか、亡くなった人がその当時、自分の意思で書いたのか、確認する場ではありません。
遺言書について争う場合は、遺言書の無効確認の裁判をする必要があります。




遺産分割

4 遺産分割協議書を作成する



協議が整った場合には、遺産分割協議書を作成します。そのためには、実印と印鑑証明書が必要になりますが、遺産分割協議書は相続登記や預金の解約などに必要な書類です。
*問題が起こらないように、事務所でも、作成を担当させていただいています。(*遺産分割協議書の作成)






遺産分割
5 法定相続分、特別受益、寄与分



遺産分割の協議が整わない場合は、裁判所で調停をし、それでも決まらない場合は、最終的に裁判所が「審判」という形で決めてくれます。その場合の基準となるのが民法で、裁判所はそれに従って判断をします。

(1)法定相続分
    
まず、相続人の順位と相続分については、民法で定められています。例えば、ご主人が亡くなって、妻と子ども2人が相続人の場合は、妻が2分の1,子どもが各4分の1となります。また、子供がおられず、ご両親も死亡している場合は、妻と兄弟姉妹が相続人となり、その場合は、妻が4分の3、兄弟姉妹が4分の1とされています。(*相続人と相続分)


(2)特別受益と寄与分
    
以上が原則ですが、相続人の中に、①被相続人から遺贈を受ける、もしくは生前贈与を受けるなどして特別の利益を受けている場合があります。(*特別受益)また、②親の家業に従事して財産を増やしたり、寝たりきり状態の親を介護をして親の財産の減少を防いだなど、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をしたと評価できる場合があります。(*寄与分)
これらの場合、形式的に上記の法定相続分で分配すると不公平になります。そこで、「特別受益」(とくべつじゅえき )の場合は、遺贈又は贈与の価額も含めた総額を相続財産とみなし、その相続財産をもとに各相続人の相続額を計算し、その金額からすでに受けている遺贈ないし贈与の額を控除した金額が実際の相続額となります。(*特別受益の持ち戻し)
これに対し、「寄与分」(きよぶん) の場合は、寄与者が得るべき寄与分の額を計算し、それを相続財産から除外した上で各相続人の相続額を計算し、寄与をした人に寄与分を加算して、実際の相続額を計算することになります。この寄与分は、相続人間の協議で決めますが、協議が調わないとき又は協議ができないときには、家庭裁判所の調停又は審判の手続を利用することができます。(*寄与分を定める調停、処分)


(3)具体的相続分、基準時等について
    
以上によって、具体的に相続財産全体に占める各相続人が取得する相続分の割合を計算します。それを具体的相続分といいます。なお、この特別受益及び寄与分の評価は「相続開始時」を基準とするので、具体的相続分も、「相続開始時」を基準に相続財産の評価を行い、それに特別受益、寄与分の額を考慮して、決定されます。また、特別受益と寄与分の関係が問題になりますが、実務では、特別受益の計算を先に行い、次に寄与分の計算を行う方法をとっています。
そして、この具体的相続分に基づき、各相続人の最終的な取得分の額が決定されますが、「分割時」を基準に相続財産の評価を行い、その額に具体的相続分を乗じて、各相続人の最終的な取得分の額が計算されます。






遺産分割
6 特別受益、寄与分の期間制限(民法改正)




相続開始後10年を超えた場合、特別受益、寄与分の主張はできなくなります。







これまでのルールはどんなものでしたか?
                 

 
(特別受益(例えば、長男が生前贈与を受けたこと)や寄与分(例えば、療養看護等の貢献をしたこと)等を考慮する相続分)の割合による遺産分割を求めることに期間制限がありませんでした。






遺産分割に関する新しいルールとはどんなものですか?
                 

 
相続の開始後(ご家族が亡くなったときから)10年を経過した後にする遺産分割は、原則として特別受益(例えば、長男が生前贈与を受けたこと)や寄与分(例えば、療養看護等の貢献をしたこと)を考慮した具体的な相続分ではなく、法定相続分又は遺言によって定められた相続分(指定相続分)によって画一的に行うこととされました。







新しいルールは、令和5年4月1日までに開始した相続についても適用されますか? 
                 

はい。適用されます。
具体的相続分による遺産分割をすることができるのは、基本的に、相続開始から10年に限られます。ただし、令和5年4月1日の時点で、既に相続開始から5年を超える期間が経過しているケースについては、令和10年3月31日までの間は、具体的相続分による遺産分割ができるよう猶予期間が設けられています。









具体的相続分による遺産分割を確実にするためには、どうすればいいですか?
                 

相続開始から10年を経過するまで(Q3の執行猶予期間中)に、家庭裁判所に遺産分割の請求(調停や審判の申立て)をすれば、具体的相続分による遺産分割ができます。
なお、10年経過後も、相続人全員が合意すれば、具体的相続分による遺産分割はできます。







遺産分割
7 配偶者居住権とは




夫が亡くなった後、夫名義の家(自宅)は、子が相続するが、妻は亡くなるまで(又は一定期間)、家(自宅)に住み続けることが認められている権利です
この制度は、2020年4月1日の改正により認められたものです。

*夫、妻が逆の場合もありますので、一度、お問い合わせ下さい。

    

例えば夫婦で暮らしている自宅の名義が夫で、その夫が死亡した場合を考えてみましょう。
妻は、住み慣れた自宅で今後も暮らし続けたいと考えているとします。誰からも文句を言われず老後も安心して自宅で暮らしていくためには、今までであれば、自宅を妻が相続しておく必要がありました。
しかし不動産というのは高価な財産ですから、もし妻が不動産である自宅を相続すると、その他の遺産(現金・預貯金・有価証券等)は多く相続できないことになりかねません。場合によっては、現金・預貯金を一切相続できないと言う場合もあります。自宅を確保するために、老後の生活の為の預貯金は諦めるか、老後の生活の為の預貯金を確保するために、住み慣れた自宅を処分するかの選択を迫られる場合がありました。
そこで、2020年4月1日 の改正では、「配偶者居住権」という権利を認めて、自宅について、例えば息子が相続をするが、妻が亡くなるまで(又は一定期間)、自宅に住み続ける権利が認められることとなったのです。息子が相続する自宅の所有権は、母親が住むことを認めるという負担付き所有権ということになります。

〔 具体例 〕
      
例えば、遺産として自宅(評価額2000万円)と預貯金3000万円があって、相続人が妻と息子1人の場合。遺産の総額は5000万円で、妻と子が2500万円ずつ相続するのですから、従来の制度で妻が家の所有権を相続する場合、妻は預貯金を500万円しか相続できないということとなります。
しかし、配偶者居住権が認められると、自宅の評価額2000万円のうち、配偶者居住権の価値が仮に1000万円だとすると、妻は自己の相続分の残り1500万円の預貯金を相続できることになり、子は、母親が死亡するまでは母親に住まわせ続けなければならないものの、自宅の所有権を取得し、預貯金も1500万円を相続できることとなるわけです。

〔 配偶者居住権で注意すべき点 〕
                
配偶者居住権は、配偶者に特別に求められたものですので、この権利を第三者に譲渡することはできません。また所有者はあくまでも、上記の場合は子どもですので、所有者の同意無く、改築増築はできません。また、固定資産税は所有者である子どもが支払う義務がありますが、改正法では「配偶者は居住建物の通常の必要費を負担する」(1034条1項)とありますので、息子は、親に対して、「通常の必要費」として固定資産税の負担を求めることになると考えられます。


*この制度は、2020年4月1日施行されたものですので、2020年4月1日以降の相続に適用されます(つまり2020年3月31日以前にお亡くなりの場合は適用されません)。また、2020年4月1日以降に作成される遺言書で、配偶者居住権を記載することが可能になります。


   








遺産分割
8 夫婦間での居住用不動産の贈与



遺産分割
9 遺産分割の方法



遺産分割の方法としては、

(1)遺産を現物のまま分割する(現物分割)

(2)相続人の誰かに財産を与えた上で、代償として金銭を支払って解決する(代償分割)

(3)相続財産を売却した上で、金銭で分割する(換価分割)

(4)相続財産を相続分で共有とする(共有分割)の4つの方法があります。

それぞれメリット、デメリットがあり、それを考慮して遺産の分割をしていきます。(*遺産分割の方法)


      




❏ 遺産をどう分けるか揉めている。
                  

預金だけであれば、換金して、法定相続分で分ければよいですが、不動産が大半の場合、分けるのが困難な場合があります。相続人の1人が不動産を貰い、取り過ぎる場合は、他の相続人にお金を払って解決をすることがあります(代償金)。
 
また、不動産の価格をどうするかで揉める場合があります。その場合、不動産業者に時価を査定してもらうこともあります。
また、相続人の1人が、生前に財産を貰っている場合は、その分を既に貰ったとして、分配することになります(特別受益)。




遺産分割
10 遺産分割の手続き(調停・審判)



実際の遺産分割の手続きは、 ( 1 ) 協議、
 ( 2 ) 調停、 ( 3 ) 審判の3段階を経て行っていきます。
そのうち、

 ( 2 ) の調停
      
当事者間で話し合いがまとまらない場合、裁判所で調停をすることができます。どこの裁判所でも良いわけではなく、相手方の住所地のある裁判所になります。相手方が遠方に住んでいる場合は、電話会議の方法によることもできます。

「調停」は、裁判所における、協議、話し合いの手続きであり、裁判所は、相続全員を呼び出して、各相続人の意見を聞いて、調をしてくれます。

調停をする場合は、裁判所に申立書を出す必要があります。申立書には、戸籍謄本や不動産の謄本等を付ける必要があります。申立書の書き方等でわからないことがあれば、ご相談ください。
また、ご依頼をいただければ、申立書を作成、提出し、調停に同行します。

 ( 3 ) の審判
      
遺産分割の調停でもまとまらない場合、あるいは相続人が調停に出頭しないなど遺産分割の協議が出来ない場合に、裁判官が裁判(これを審判といいます)で、決定してくれます。

また、この内容に不服があるときは、審判が送達された日から2週間以内に高等裁判所に即時抗告(そくじこうこく)の申立をすることができます。 

*遺産分割においては、前述の通り、様々な形態の紛争があり、それに応じた手続きを取って行く必要があります。事務所は、この様々な手続きにも関与しています。

       


□ 遺産分割調停を申し立てられた場合、どうすればよいか。
 
               
指定された期日に、裁判所に出頭する必要があります。
そして、どのように分けたいか、どの財産が欲しいか。自分の希望を言う必要があります。
申立書に書かれている財産以外に財産があれば、それを伝えます。
また、相続人の中で、生前に財産を貰っている人がいれば(特別受益)、すでに貰っている財産があると主張することができる場合があります。





遺産分割
11 弁護士に依頼するメリットについて



事務所がかかわる遺産相続については、(1)被相続人の方が生前に行う生前の相続対策と、(2)被相続人が亡くなった後に相続人間で行われる相続対策の2つの場合があります。

(1)生前の相続対策
   

①遺言書の作成 ②遺留分の相談 ③節税対策
④死後の事務委任 ⑤任意後見制度 ⑥生前贈与
などを担当させていただいています。


(2)死後の相続対策
   
 
①相続人の調査 ②遺産の調査 ③遺産分割手続き
④遺産分割協議書の作成 ⑤相続放棄や限定承認
⑥遺留分侵害額請求 ⑦相続登記や税務対策・申告

様々な分野の法的サービスを提供させていただいています。

上記について、詳しくお知りになりたい方は、お問い合わせ下さい。

メリット
相続、遺産分割をめぐっては、様々な、複雑な問題があり、法律の専門家である弁護士が役割を発揮できる分野です。特に争いのあるケースでは、弁護士の経験とノウハウ次第で、得られる結果が大きく異なる場合もあります。

お気軽に事務所にご相談下さい。





相続その他
1 相続登記義務化




相続登記の義務化 2024年4月から始まります。
        
                 
相続によって不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日から3年以内に、相続登記をしなければならないことになりました。
また、遺産分割協議の成立によって不動産を取得した相続人は、遺産分割協議が成立した日から3年以内に、登記をしなければならないことになりました。

正当な理由がないにもかかわらず登記の申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科される場合があります。

正当な理由がある場合とは、相続登記を放置したために相続人が多数になり、戸籍謄本等の資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間がかかる場合、遺言が有効性かどうか、遺産の範囲が争われている場合などです。


登記をせずに放置して置くと、どんなリスクがあるか

(1)ますます人数が増えて、ますます困難に
     

放置すると、さらに相続人の数が増えて、ますます登記が困難になります。 
子がなくなると孫の代になり、その孫が亡くなるとその孫の代になります。人数が増え、疎遠な親戚間で話し合いができなくなります。

(2)不動産が売却できなくなる
     
相続登記をしないと登記簿上の所有者は亡くなった方のままです。不動産を売買するためには、相続登記をしなければいけませんが、相続登記ができなければ、売却できません。

例えば、家が古くなって危険なことから、役所から不動産を解体するよう指導される場合があります。その場合、土地と家を解体費用込みで売却することがありますが(買主に解体してもらうため、解体費用を差し引く)、相続登記ができなければ、そのような方法も取れません。

当事務所でも、相続登記の依頼をお受けしています。疎遠になった相続人と交渉することも可能です。ご相談ください。



相続その他
2 税務申告



相続財産の総額から債務、公課・葬儀費用を控除した正味の相続財産が、基礎控除(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるときは、相続税の申告が必要です。

申告は、遺産分割に争いがあるときでも、相続が開始したときから10ヶ月以内にする必要があり、とりあえず法定相続分で申告をして、後日、遺産分割協議が成立したときに、修正申告又は還付手続きをすることになります。

事務所は、この分野の専門家である税理士とも連携しています。





相続その他
3 葬儀費用
   



1 葬儀費用とはどのようなものがありますか?
                 
 
葬儀費用には、①遺体の運搬、火葬、埋葬費用、②お通夜・告別式の費用、③お寺へのお布施、④香典返しの費用、⑤初七日・49日法要などの費用、⑥仏壇・墓地・墓石などの購入費用など様々なものがります。
相続人のお一人がその支払を済ませた場合、後の遺産分割などにおいて、他の相続人に対して負担を求めると、拒否されて争いになることがしばしばあります。




2 葬儀費用は誰が負担するのですか?
                 

実をいうと、葬儀費用について法律上の定義はありませんし、それを誰が負担するのかについても法律に定めがありません。
もし、それが「相続債務」だとすれば、債務は原則として法定相続分に応じて分割して相続人に承継されますので、他の相続人に対して相続分に応じて求償することもできます。
しかし、葬儀費用は、相続が開始した後の費用ですから、理論的には、相続債務とはいえません。
相続税法上、葬儀費用を相続財産から差し引くことが認められていますが(相続税法13条)、これは相続税法上の制度で、民法上の負担とは別の問題です。

そこで、葬儀費用が誰の負担となるのかが問題となりますが、いくつかの考え方がありますが、法的には喪主が負担するというのが一般的です。名古屋高裁平成24年3月29日判決は、葬儀費用を「死者の追悼儀式に要する費用」と「埋葬等の行為に要する費用」とに分けて、前者は喪主が、後者は祭祀承継者が負担すべきとしました。そこで、この考え方によれば、喪主の方が葬儀費用を支払われても、他の相続人に対してその支払を求めることはできないということになります。

もっとも、他の相続人の方との合意が可能であれば、その合意内容に従って、葬儀費用の負担者や負担額を自由に取り決めることができます。実際にも、遺産分割協議や遺産分割調停の中で、一括して解決することもよく行われています。

しかし、遺産分割の審判となると、他の相続人の同意があっても、裁判所が審判で決定することになりますので、同様に考えることはできません。




3 葬儀費用にまつわるトラブルを回避するにはどうすればいいですか?
                 

葬儀費用がよく争いになるのは、主に二つの場合です。1つは、思いの外、葬儀費用の金額が高額になってしまったという場合です。そのような争いを避けるには、どのような葬儀にするか、事前に他の相続人の方と出来る限り打合せをし、確認しながら葬儀を行うことだと思います。

そして、もう1つは、本当に支出されたのか疑わしい場合です。それを避けるためには、費用の明細書や領収書などをきちんと保管しておくことです。
相続を巡っては、お互いに信頼関係が崩れてしまっているため、葬儀費用について争いになることもしばしばです。困ったときは、早めにご相談下さい。




相続その他
4 特別寄与(2019年7月改正)
   

    

亡くなった方の親族ではあるが相続人でない人のための「特別寄与」とはどういう制度ですか?
                 


特別寄与料とは、相続人以外の被相続人の親族が無償で被相続人の療養看護等を行った場合(例えば妻が、夫の父親の療養看護等を無償で行っていたが、義父が亡くなった場合等)に、相続人(義父)に対する寄与度に応じた金銭(=特別寄与料)を請求できる制度です。

この制度は2019年7月1日から導入された、新しい制度です。
特別寄与料は、相続人との協議により定められることになりますが、協議が出来ないときには、家庭裁判所に審判の申立をすることが出来ます。家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を決定してくれます。

ただし審判申立は、相続の開始及び相続人を知ったときから6ヶ月以内又は相続開始の時から1年内に行わなければなりません。
具体的にいくら位の請求ができるのか、特別寄与料を認めてもらうためにはどの様な資料を残しておいたらいいのかなど、詳細は、事務所にご相談下さい。








相続その他
5 遺産分割前の相続預金の払い戻し制度(2019年7月改正)
   

    




相談者の方
「施設に入っていた父が亡くなって、長男の私が喪主を務めてお葬式を行いました。葬儀はそんなに大きくはしませんでしたが、それでも150万円かかってしまいました。父の銀行口座から150万円を引き出して支払にあてる方法はないのでしょうか?」

弁護士
「うーん、亡くなったお父さんの銀行口座はすでに凍結されていますよね。相続人の皆さんの同意があれば引き出すこともできるのですが、皆さんの同意は得ることができそうですか?」
 
相談者の方
「妹とは仲がいいんですが、弟とはあまり仲がよくなくて、全員の同意は難しいかもしれません。」
 
【改正前】
弁護士
「そうであれば、引き出すのは難しいですねえ。」
  
民法改正により、令5年4月1日から遺産分割に関する新しいルールが始まりました!
仮払い制度」
      
【改正後】
弁護士
「相続法の改正で預貯金の仮払い制度ができました。一定額であれば、無条件に引き出すことができますよ。」
 
相談者の方
「そうなんですか。一定額っていくらですか?」
 
弁護士
「相続開始時の預貯金総額の3分の1に、あなたの法定相続分をかけた額です。」
「お父さんが亡くなられた時の預貯金の総額はいくらですか?」
 
相談者の方
「そうですね。銀行に1000万円、郵便局に800万円で1800万円ですね。」
 
弁護士
「1800の3分の1は600ですね。相続人は、誰ですか。」
 
相談者
「私と妹、弟の3人です。」

弁護士
「それでは、600×法定相続分3分の1=200万円ですね。」
「その上で、
1つの金融機関から引き出せる上限は150万円なので、銀行からは150万円まで、郵便局からは200-150=50万円までは引き出せることになりますね。」
 
相談者
「そうですか。同意がなくても合計200万円は引き出せるんですね。助かりました。」
 

以上のように、相続法が改正されて、一定額が引き出せるようになりました。

他にも相続制度を見直す改正点はありますので、一度お気軽にご相談ください。

 




相続放棄
1 相続放棄とは

    


相続放棄
2 熟慮期間とは
    



相続放棄
3 被相続人の借金を調べるには
    




相続放棄
4 熟慮期間経過後の相続放棄
    



相続放棄
5 相続放棄ができなくなる場合(法定単純承認)
    




1 法定単純承認とは?
                 

一定の事由によって当然に単純承認が成立してしまうことです。
法定単純承認が成立すると、それに反する相続放棄ができなくなってしまいますし、有効に相続放棄をしても、その後取り消されてしまうこともあります。
どのような場合に法定単純承認になるのか次の3つの場合があります。

(1)「相続人が相続財産の全部又は一部を処分した場合」
 (処分についての解説は、次の「Q&A相続財産の処分とは」をご覧ください)

(2)「相続人が自己のために相続があったことを知った時から3ヶ月以内に限定承認又は相続放棄の手続きをしなかった場合」

(3)相続人が限定承認又は相続放棄をした後であっても、
「相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、ひそかにこれを費消し、又は悪意でこれを相続財産目録中に記載しなかった場合」








2 (1)の相続財産の処分とは?
                 
  (相続放棄ができなくなる場合)

一定の事由によって個々の事情を考慮して 、具体的にどのような場合に相続財産の処分となるのか、どのような場合に「相続財産の処分」にあたるか判断されます。
まず、預貯金を払い戻し、自分のものとして使った場合は処分行為となり、相続放棄ができなくなります。
しかし、被相続人の葬儀費用の支払い、墓石や仏壇の購入などをした場合は、相続放棄が認められている例もあります。
但し、社会的に見て不相当に高額なものは、処分行為に該当するとされる可能性がありますので、注意が必要です。
賃貸物件の賃料の振込口座を自分の名義に変更する行為や資産価値のある物の形見分けも処分行為となります。
しかし、資産価値のない物の形見分けは、処分行為にならないとした判例があります。
動産や不動産その他の財産権の売却や抵当権の設定などや、物理的に損壊したり、廃棄したりした場合には、処分行為となります。
ただし、被相続人の死亡を知らずにした財産処分行為は、相続財産の処分にはなりません。
これに対し、保存行為にあたる場合は、法定単純承認とはなりません。
保存行為にあたる場合とは、期限の到来した債務を弁済する場合、倒壊のおそれのある建物を修繕する場合、腐敗しやすい物を処分する場合などです。
このように、相続財産の処分に該当するかどうかは、微妙な場合も多く、判断に迷うこともありますので、事前にご相談下さい。





相続放棄
6 相続放棄とは関係なく受けとれるお金
    




遺留分侵害額請求




(1)遺留分侵害額請求とは
    
亡くなった方が遺言書を残しており、一部の相続人、又は他人に財産を渡す内容となっていました。
例えば、お父さんが亡くなり、相続人は子が3人ですが、長男にだけ、全財産を渡す遺言があった場合です。

相続人には、最低限の持分があります(遺留分・いりゅうぶん)。そこで、他の子は、長男に対し、最低限の持分(遺留分)を請求することができます。

したがって、遺言書を作る際、遺留分を侵害した遺言書を作ると、後で相続人間でトラブルになる可能性があります。




(2)遺留分を請求できる人は誰か
    
遺留分を請求できる相続人は、誰でしょうか。

相続人のうち、配偶者、子(子が亡くなっている場合は、その孫)、親(親が亡くなっている場合は、祖父母)です。
兄弟は、請求できません。

また、請求できる遺留分は、
全財産の1/2×法定相続分ですが、
父母だけが相続人の場合は、1/3×法定相続分です。

例えば、相続人が子3人であれば、
1/2 × 1/3 = 1/6を請求できます。

交渉でまとまらない場合は、調停をすることができます。





(3)期間制限に注意
    
1年間の期間制限があります(相続開始と遺留分侵害を知ってから1年)。

内容証明郵便で、請求する相手方に、遺留分を請求する意思を伝えなければいけません。内容証明郵便が相手方に届く必要がありますので、早めに動き出す必要があります。

なるべく早く弁護士にご相談ください。




預金の使い込み(引き出し)




(1)預金の使い込み(引き出し)とは
    
亡くなった方の預金を、生前、同居の子が管理していたとします。
その子が、親が認知症になった後、好き勝手に引き出し、自分のものとしていました。

親が死亡後、預金の使い込みが明らかになった場合、他の相続人は、何も言えないのでしょうか。

この場合、使い込んだ人に対して、返還請求ができます(不当利得返還請求、不法行為に基づく返還請求)。




(2)請求するためには、どのような証拠が必要か
    
まず、使い込んだ人が、預金を管理していた証拠が必要です。親と子が任意後見契約を締結して、預金の管理を任されていたような場合は、任意後見契約の公正証書があれば、証拠になります。

次に、銀行へ行って、預金の取引履歴を入手しましょう。預金の入出金が明らかになります。

また、亡くなった方が認知症で、お金の管理ができなかったことを照明する必要があります。
市役所で介護認定の記録等をもらったり、病院でカルテ等を取得することが必要になります。




(3)請求されたら、どうしたらよいか
    
反対に、請求されたら、どう反論したらよいでしょうか。

施設代、病院代、日用品等の領収書、葬儀費用の領収書等、使ったお金に関する領収書を探してください。なければ、病院や施設に再発行をしてもらってください。

保存期間を過ぎると、再発行してもらえなくなります。
  
両親のお金を管理する方は、家計簿を付け、領収書を保管することが大切です。



解決事例(相続・遺言)



1.相続人間で遺産分割協議ができず、調停を依頼。
 (遺産分割調停)
                       


【 相談前 】
相続人の1人が遺産を独り占めし、遺産分割の話し合いをしてくれない、相続財産には、不動産や預金があるが、不動産ではなく現金が欲しいと言われました。

     
【 相談後 】
遺産分割調停の申立をし、調停で、不動産を売却して売却代金を分配することを提案しました。相手方が合意をしたので、不動産業者に頼んで売却し、売却代金を分配して解決することができました。


”弁護士のコメント”
当事者間での話し合いが難しかったので、すぐに調停を起こしました。不動産は、お互いにとって不要なものだったので、売却できたことで、早期の解決に繋がりました。



2相続人の中に、認知症の者がいるので遺産分割協議ができない。
 (成年後見)
                       


【 相談前 】
相続人の中に、認知症の者がおり、遺産分割協議ができないので、金融機関で預金の引き出しができません。
どうしたら、遺産分割協議ができるでしょうか。
     
【 相談後 】
認知症の方に成年後見人を選任してもらい、成年後見人が遺産分割協議をする必要があります。
家庭裁判所に成年後見の申立をし、その後、遺産分割協議をして、遺産を分けました。


”弁護士のコメント”
認知症や障害者の方で、遺産を分けることについて判断できない方がいると、遺産分割協議ができず、前に進みません。
そのため、成年後見人を選任する必要があります。
家庭裁判所に申し立てが必要で、財産の額が大きかったり、遺産分割が複雑な場合、親族ではなく、専門職の成年後見人が選任されます。




3相続人の中で、長男だけが、生前に多額の贈与を受けているので(特別受益)、それも考慮して公平に分配して欲しい。
                       


【 相談前 】
相続人3人のうち(長男、二男、長女)、長男だけが、生前に、多額の生命保険をかけてもらい、他の相続人より、たくさんの額をもらっていました。そのため、他の相続人が、残った遺産を3分の1ずつ分けるのでは、不公平なので、長男がもらった生命保険も考慮してもらえないかと相談に来られました。
     
【 相談後 】
遺産は、死亡時に残った財産だけではなく、亡くなった方が生前に相続人にあげた財産(特別受益)も考慮します。特別受益として認めてもらうためには、裏付ける証拠が必要なので、証拠を探してもらいました。

”弁護士のコメント”
遺産+特別受益が遺産の総額になり、そこから、各人の取り分を計算します。特別受益には、結婚資金、留学費用、新築費用等、様々なものが考えられますが、認定してもらうためには、証拠が必要です。
特別受益の主張は難しいので、弁護士に相談されることをお勧めします。

なお、改正法により10年の期間制限ができたので、早めに調停を申し立てる必要があります。



兄が勝手に、亡くなった母の預金を引き出していた。
 (預金の使い込み、引き出し)
                                                             


【 相談前 】
お母さんが亡くなり、相続人は兄弟2人でしたが、生前、お母さんの通帳を管理していたお兄さんが、複数回にわたり多額の預金を引き出していました。お母さんは認知症で寝たきりの状態が続いていました。
弟さんが、お兄さんが引き出した預金を取り戻したいと相談されました。

【 相談後 】
銀行の取引履歴を取り寄せてもらい、お兄さんが出金した金額を調べました。同時に、お母さんの認知症の程度を調べるため、介護認定の資料も取り寄せてもらい判断しました。そして、お兄さんに対し、勝手に引き出した預金の半分(弟の相続分2分の1)を請求しました。
お兄さんは、
預金を勝手に引き出したことを認め、数百万円の支払いをしてくれました。
 

”弁護士のコメント”
相続人の1人が勝手に預金を引き出す事例の相談が増えています。亡くなった方の認知症の程度、時効の問題等、法的な検討が必要です。裁判になることも多くなっています。




5父の死亡後、金融機関から借金を返すよう請求書が届いた。
(相続放棄)
                         


【 相談前 】
お父さんは、預金を残して亡くなりましたが、金融機関から、借金を返済するよう請求書が届きました。相談者は、お父さんと一緒に暮らしていなかったので、他にも借金があるかわからず、どうしたらよいか相談に来られました。
     
【 相談後 】
相続を認めると、預金だけではなく、借金も相続することになるので、家庭裁判所に相続放棄の申立てをすることにしました。


”弁護士のコメント”
相続放棄は、亡くなったことを知ってから3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続放棄の申立てをする必要があります。預金を使ってしまうと相続を認めたことになり、相続放棄はできません。
亡くなった方に、借金がある場合は、慎重に判断する必要があります。



6遺言書を見ると、長男にほとんどの財産を渡す内容だったので、遺留分侵害額請求をしたい。
                     


【 相談前 】
母が亡くなり、相続人は、兄弟2人です。ところが、母は、公正証書遺言を作成しており、ほとんどの財産を兄に渡す内容となっていました。
納得ができないので、遺留分を請求したいと相談に来られました。
     
【 相談後 】
遺産の総額を出して、遺留分を計算し、その上で、お兄さんに対し、内容証明郵便で遺留分を請求しました。
お兄さんは、自分の取り分が多いことがわかっていたので、遺留分として数百万円を支払ってくれました。



”弁護士のコメント”
遺言書があっても、相続人を保護する目的から、相続人には最低限の取り分があります(遺留分)。
遺留分を請求するためには、期間制限があるので、早めに弁護士に相談されることをお勧めします。



7.実子と疎遠になっているので、一緒に住んでいる後妻に財産を残したい。(遺言)
                      


【 相談前 】
前妻と死別し、実の子とは疎遠になっています。再婚後、現在の妻にとても良くしてもらっているので、妻にたくさんの財産を残したいです。
     
【 相談後 】
公正証書遺言を作成し、後妻にたくさんの財産が残せるよう配慮し、実子には、最低限の遺留分が渡せるようにしました。
また、もし、後妻がご本人より先に亡くなられた場合は、実子が財産を受け取れるようにしました。


”弁護士のコメント”
後妻と実子が、遺産分割でトラブルになることは、たくさんあります。
血縁関係がないので、遠慮が無く、泥沼の争いになることがあります。奥さんの老後の生活を守るためには、専門家の関与する公正証書遺言を作成することをお勧めします。



独身で子どもがいないので、遺産を、面倒を見てくれている姪に相続させたい。
 (遺言)
                      


【 相談前 】
独身で子どもがいない方の相談です。近くに住む姪が身の回りの世話をしてくれていますが、死後、自分の遺産は、兄弟姉妹が相続してしまうので、姪にあげたいが、どうしたらよいか相談されました。
     
【 相談後 】
遺言書を書いて、姪にあげることができますが、自筆遺言だと、要件を充たさなかったり、死後に紛争になるおそれがあるので、公正証書遺言を勧めました。

”弁護士のコメント”
どのような遺言書にするか、何度も打ち合わせをし、遺言書の内容を考えました。また、公正証書遺言にすることで、確実に残せることになり、安心されていました。
自筆遺言は、費用がかかりませんが、不十分な記載で、不動産の登記ができない場合等があります。
相続人が無用なトラブルに巻き込まれないよう、専門家の関与がある公正証書にすることをお勧めします。



9自筆遺言書が出てきました。どうしたらよいでしょう。
(検認) 
                       


【 相談前 】
友人の面倒を見てきたところ、自筆で遺言書を書いてくれました。先日、その方が亡くなり、遺言書に基づいて金融機関へ行きましたが、預金はおろせず、裁判所で手続きをしてくださいと言われました。どうしたらよいですか。
また、他人なので、戸籍謄本等が取得できず、今後の手続きが不安です。
     
【 相談後 】
裁判所で、「検認」の手続きをし、その後、金融機関へ検認の終わった遺言書を持って行って換金をする必要があります。
戸籍謄本は弁護士が取得し、金融機関の手続き、不動産登記等も全て弁護士が行いました。


”弁護士のコメント”
自筆遺言の場合は、裁判所で「検認」の手続きをしなければ、遺産を受け取ることはできません。
検認が終わればご自分で、金融機関へ行き、換金の手続きができますが、仕事等で忙しい場合は、弁護士に依頼していただければ、全ての手続きをさせていただきます。








相続の問題を、全てご自身だけで解決されるのは、時間の経過とともに精神的負担が重くのしかかってきます。弁護士に依頼すべき案件か、今後どう対処していけばよいか、ご相談されることをお勧めします。納得のいく形で解決できるよう一緒に考えていきます。











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