離婚 Business 親権・監護権・面会交流 |
■ 親権 離婚の親権は、お父さんとお母さんのどちらが取得できるでしょうか。 ➀まず、今まで主に世話をしてきた方が、有利です。専業主婦であれば、お母さんの方が有利といえるでしょう。 年齢が小さいお子さんの場合は、お母さんの方が、有利な傾向にあります。 ②次に、すでに別居している場合、子どもと一緒に住んでいる方が有利です。子どもが慣れ親しんだ環境を変えることは、子どもにとって影響が大きいからです。 夫婦が別居し、お父さんと子どもが一緒に住んでいる場合は、お父さんの方が有利と言えるでしょう。 ③夫婦が別居している場合、離れた親と面会交流を実施しているかも、考慮されます。子どもの成長にとって、離れて暮らす親も、大切な存在だからです。 ④子どもが複数いる場合、親権者を分けることはできるでしょうか。 子どもにとって、兄弟の存在は大切なので、親権者を分けることは難しいと思います。 ⑤この他にも、子どもに暴力を振るった等の事情が考慮されます。 |
■ 監護権 監護権者の指定・手続 別居後離婚までの間、どちらが子どもと一緒に住むのがふさわしいか、監護者を決める場合があります。 例えば、突然、お父さんが子どもを連れて家を出た場合、お母さんが、裁判所に監護者の指定をして、子どもを取り返す場合です。 その際も、親権者を決める時と同じように ①今まで誰が子どもの面倒を見てきたか、 ②現在、どちらが一緒に暮らしているか。環境を変えても大丈夫か、 ③面会交流は、実施されているか、 ④近くに、祖父母等が住んでいて、助けて貰える環境にあるか、 ⑤兄弟が離ればなれになっていないか等の事情が考慮されます。 子の監護者指定は、時間との勝負です。 ②の要件は重視されます。 |
監護者を指定してもらうための手続 (1)審判、仮処分 まず、監護者を指定してもらうための審判と仮処分を申し立てします。子どもを早急に取り戻す必要があるので、仮処分も申し立てる必要があります。仮処分は、通常の裁判より早いスピードで進みます。 また、裁判官は、子どもの専門家ではないので、調査官という、子どもの心理等に詳しい専門家が、お母さん、お父さん、お子さんの話を聞き、調査をします。 調査官は、調査が終了すると、報告書を書き、裁判官はそれを参考に判断し、審判を出します。 (2)高等裁判所に即時抗告 不服があれば、高等裁判所に即時抗告の手続きをします。 また、仮処分の決定に基づき、相手方が子どもを返さない場合、強制執行の申立をし、裁判所の執行官とともに相手方の自宅等へ行って、子どもを引き渡してもらいます。 (3)人身保護請求 強制執行を行っても、子どもが引き渡されない場合、裁判所に人身保護請求の申立をします。 |
■ 面会交流 別居後に、一緒に暮らしていない親と子どもが定期的、継続的に会うことを面会交流といいます。 面会交流は、子どもの成長のために行うものです。子どもたちにとって、離れて暮らす親も、大切な存在です。 例えば、夫婦が別居し、お母さんが子どもたちを連れて実家に帰った場合、お父さんと子どもたちが定期的、継続的に会うことを取り決めします。 通常は、月1回程度です。 では、離れて暮らす親が、全く子どもに会えていない場合、どうしたらよいでしょうか。 そのような場合は、裁判所に、面会交流を請求する調停を申し立てます。 離れて暮らす親に特別な問題がなければ、面会交流ができるよう、裁判所で話し合いがなされます。 ただし、 ①離れて暮らす親が、同居中、配偶者や子どもに暴力を振るっていたような場合(虐待をしていた場合) ②子どもが大きくなっていて、子どもが離れて暮らす親と会うことを拒否している場合は、面会交流が認められない場合があります。 面会すべきかどうか判断するために、調査官が入って、生活状況や子どもの意思を調査する場合があります。 |
女性の例 解決事例 |
夫が子どもを連れ去り、子どもを引渡してもらい、親権を獲得 【 相談前 】 夫婦で離婚の話し合いをしていたところ、夫が幼稚園児の子どもを連れ去り、実家に戻ってしまいました。 妻が、子どもの親権を取りたいと言われて、依頼されました。 【 相談後 】 監護者指定の審判、仮処分を申し立てて、母親を監護者に指定してもらいました。しかし、夫が子どもを引き渡さないので、強制執行の申立をして、裁判所の執行官とともに、夫の自宅へ行き、子どもを引渡してもらいました。 その後、離婚裁判で妻を親権者とする判決をもらい、子どもの親権を獲得することができました。 ”弁護士からのコメント” 子どもの親権は、一緒に住んでいる方が有利になります。子どもは、新しい環境に慣れると、元の生活に戻るのが負担になります。 そこで、早期に監護者指定の審判、仮処分を申し立てて、子どもを引き渡してもらい、離婚裁判に臨む必要があります。 強制執行で子どもを引渡してもらえない場合、間接強制、人身保護請求の申立と、手続きを進めていく必要があります。精神的にも経済的にも負担が大きくなりますので、子どもと離れないようにして、離婚手続を進めていく必要があります。 |