Business 遺産分割前の相続預金の払い戻し制度(2019年7月改正) |
相談者の方 「施設に入っていた父が亡くなって、長男の私が喪主を務めてお葬式を行いました。葬儀はそんなに大きくはしませんでしたが、それでも150万円かかってしまいました。父の銀行口座から150万円を引き出して支払にあてる方法はないのでしょうか?」 弁護士 「うーん、亡くなったお父さんの銀行口座はすでに凍結されていますよね。相続人の皆さんの同意があれば引き出すこともできるのですが、皆さんの同意は得ることができそうですか?」 相談者の方 「妹とは仲がいいんですが、弟とはあまり仲がよくなくて、全員の同意は難しいかもしれません。」 【改正前】 弁護士 「そうであれば、引き出すのは難しいですねえ。」 民法改正により、令5年4月1日から遺産分割に関する新しいルールが始まりました! 「仮払い制度」 【改正後】 弁護士 「相続法の改正で預貯金の仮払い制度ができました。一定額であれば、無条件に引き出すことができますよ。」 相談者の方 「そうなんですか。一定額っていくらですか?」 弁護士 「相続開始時の預貯金総額の3分の1に、あなたの法定相続分をかけた額です。」 「お父さんが亡くなられた時の預貯金の総額はいくらですか?」 相談者の方 「そうですね。銀行に1000万円、郵便局に800万円で1800万円ですね。」 弁護士 「1800の3分の1は600ですね。相続人は、誰ですか。」 相談者 「私と妹、弟の3人です。」 弁護士 「それでは、600×法定相続分3分の1=200万円ですね。」 「その上で、1つの金融機関から引き出せる上限は150万円なので、銀行からは150万円まで、郵便局からは200-150=50万円までは引き出せることになりますね。」 相談者 「そうですか。同意がなくても合計200万円は引き出せるんですね。助かりました。」 以上のように、相続法が改正されて、一定額が引き出せるようになりました。 他にも相続制度を見直す改正点はありますので、一度お気軽にご相談ください。 |